里山学校とは

野外教育を主軸とした学校

 現代は、スマホやAIが急速に普及し、激動の時代に入りました。「ググる」という言葉(Googleで検索するという意)も生まれて、分からない知識はスマホが何でも教えてくれる世の中において、社会で必要とされる力も変わりつつあります。

 里山学校は、変化していくこれからの時代を生きていくのに不可欠な、”生き抜く力”を身に着けるための、野外教育を主軸とした学校です。

 しかしながら、教育というものには、正解がありません。野外教育は一つの手段であり、同じことをしてもそこから学ぶことは人それぞれです。私たちは、子ども達一人ひとりと向きあい、スタッフ・ご家庭・本人との話し合いを持って、どのような関わりをするのか、方向性を決めていきたいと思います。

育みたい3つの力

人生100年時代、さらには激動の時代の中、
”生き抜く力”とは、何でしょうか?
サバイバル技術を身に着けること?
それともいい大学を卒業することでしょうか?

 「主体的に」「考えて」「行動する」力

 ロボットやAIが急速に発達するなか、単なる知識や技術は必要不可欠な力ではなくなってきました。また、例え大学を卒業しても、社会に出て適応できなく働けなくなる人々も顕在化してきました。
 残念ながら、変動する現代において、10年後、20年後の社会を見通すのは難しくなってきています。そのような中、例え変動したとしても変わらず必要な力が、「主体的に」「考えて」「行動する」力です。

 遊び×野外=主体的に×考えて行動

 特に子ども達は「やりたい!」と思った時に最も多くの学びがあります。子ども達は言うまでもなく遊びが大好きで、自ら進んで行動します。そして野外での活動は、既存の遊び道具があるわけではなく、日々姿を変えていく自然との遊びは考えることに満ち溢れています。例えば簡単な例をあげると、

きれいな花を摘む。(主体的)

花がしおれてきた!(考える)

水をあげよう。(行動する)

という風に、野外では子ども達が「主体的に」「考えて」「行動する」場面が自然とたくさん生まれます。

 子ども達は、大好きな遊びにとことん打ち込む中で、ロボットやAIにはできない大切な力を身に着けているのです。

 スタッフは、無理にゴールを決めて誘導することはしません。子ども達自身の言葉や行動を認めたり問いかけたりしながら、自然と遊びを発展させていくサイクルをつくります。もちろん、その時次第で遊びはどのように発展していくかは分かりませんが、子ども達は、その遊びのサイクルの中で、自然と「主体的に考えて行動する力」を身に着けていきます。

コミュニケーション能力

 先生が黒板の前に立ってする授業は、子ども達が話す機会が多くはありませんが、休み時間に遊んでいる子ども達はとても賑やかに会話をしています。里山学校では、たっぷりと遊ぶ中で、友達を誘ったり、協力したり、助けてもらったり、話さなくても隣にいる子の気持ちを察したりする機会がたくさんあります。自分の気持ちを伝えたり、友達の話を聞いたり、スタッフとの会話を通して、聞く力・伝える力を育んでいきます。

 時にはケンカも大切な学びの機会と考えています。やみくもに大人がダメと止めたり、どちらが正しいと判断するのではなく、お互いに言葉で伝えあうことにこそ価値があります。もちろん、暴力はダメですので、すぐに止めます。

 また、里山学校は、地域の人々と日々の生活の中でたくさんの関わりがあります。一緒に野菜を育てたり、お裾分けを貰ったり、散歩していたら「これ持っていきな」と声をかけてくれたり、時には田植えや稲細工、郷土料理の作り方を教えてくれたりすることもあります。「子ども達を地域で育てる」ことが、子ども達の豊かな心を育むとともにコミュニケーション能力を高めることに繋がります。

前向きに生きていく力

 野外での活動は、不便なこともたくさんあります。私たちは、大きなリスクは排除しつつも、快適すぎる環境は作りません。不便な経験というものはとっても大切なものです。子ども達は、不便だからこそ、どのようにしたら過ごしやすくなるのかを考えます。さらには、子ども達は適応する力にも優れており、「少しくらい不便でも大丈夫!」という自信を持つことは、災害時や困難な壁に直面した時でも、前向きに生きていく力に繋がります。

食育

食は三大欲求の一つとも言われるほど、私たちが生きていく為になくてはならないものです。

私たちの食べ物はどこから?

 現代においては、食べ物はお店で買うものであり、多くの子ども達がどのようにして生産されるのか分からなくなってきています。日本の食料自給率は下がる一方であり、このまま輸入に頼り続けると、求めても生産に関する本当の体験はできなくなるでしょう。

 里山学校では、地域の方々と様々な野菜や、稲、果樹を育てています。収穫だけではなく、土を耕し種を植えるところから、水やりや草むしりをして育て、実りを収穫して味わう。その一連の流れの中で、子ども達は五感を通して様々なことを学びます。

 野菜も”生き物”ですから、時には獣に食べられたり、台風にやられたり、失敗することもあります。しかしその経験こそが、「いただきます」の意味を身をもって体感することができ、食べ物の大切さや、農家への感謝につながります。

好き嫌い・食品ロス

 子ども達との活動で気付いたことがあります。それは、好き嫌いのある子でも、自分で収穫すると食べられるようになるということです。特に育てるところから関わっている子ども達は、どんなに嫌いなものでも一口はチャレンジしようとします。もちろん、収穫したてで新鮮な食べ物がおいしいということもありますし、自分で育てた食べ物はその大変さやありがたみが分かるからだと思います。

 今世界では、約8億人が飢餓や栄養不足で苦しんでいる一方で、日本では、年間643万トンもの食品ロスが問題になっています。食べ物を作り味わう体験こそが、この問題を解決する一筋になると確信しています。

フリースクール?オルタナティブ?

 学校教育法第一条ではない教育機関という意味ではオルタナティブスクールになります。その意味では、多くのフリースクールもオルタナティブスクールと言えます。

 関わりのある通信制高校のある生徒からは、「フリースクールに行くと不登校であることを認めることになり、行きたくなかった」という声がありました。このことから、もちろんフリースクールとしての側面も持ち合わせていますが、私たちは里山”学校”であると言っています。

 なお、指導要録上「出席扱い」になるかどうかは在籍学校とのやり取りになりますが、こちらでもできる限りのことは対応します。

野外教育を生業として

 私たちは、できる限り仕事として野外教育を提供していきます。残念ながら、無償での活動は、継続できなかったり、安全や質を落としたりせざるを得ない現実があります。(その一方で、多くの方に体験を届けることができているという側面もあります。)

 里山学校も、もちろんボランティアの方も一緒に活動しますが、ボランティアの方がいないと成り立たない体制にはならないようにします。少人数での実施、さらにはプロのスタッフが子ども達一人ひとりに向き合うことで、継続的かつ安全で良質な教育を目指します。

 また、指導者養成として、積極的に実習生を受け入れたり、研究にも参画したりしていきます。将来、きちんと仕事として成り立つ形を画一していくことで、より多くの子ども達に、野外教育が提供できることを目指します。

 私たちも日々学びの連続であり、子ども達と、そして保護者の方々と共に学びを深め合える環境を作り上げていきます。

※安全とは、リスクを0にするわけではありません。詳細は、安全管理をご覧ください。

校則

それは自由? それとも自分勝手?
ここは自分勝手ではない自由な学校です。

必要があれば、ルールもみんなで考えましょう!

参考文献

 野外教育や体験活動、幼少期の遊び、地域交流などは、様々な成果が研究実績として示されています。そして長期的、または定期的な活動が、よりその効果を高めることも実証されています。私たちは、私たち自身の能力向上や、普及に向けて、調査・研究にも積極的に関わっていきます。

【文部科学省】青少年の野外教育の振興に関する調査研究者会議

【国立青少年教育振興機構】子供の頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究